タッチスクリーンを搭載したMacBook Proが2025年にも登場するかもしれないとBloombergが伝えているそうです。
同モデルは薄型軽量で省電力に優れているOLED(有機ELディスプレイ)を備え、タッチ入力とジェスチャーの両方がサポートされるとしています。
個人的には懐疑的
というのも、かつて故スティーブ・ジョブズ(前CEO)がノート型パソコンのタッチスクリーン採用について「人間工学的にひどい」と断じたことがあり、その指摘について私も同感だからです。
操作性が似て非なる
ノート型パソコンは据え置き前提
ノート型パソコンは "ラップトップ" とも呼ばれますが、その名の通り膝の上(lap top)に載せて使うことに由来する呼び名。
デスクトップしか存在しなかった頃に薄型軽量を印象付けるために "lap top" という表現を用いた背景もあるかもしれませんが、いずれにしても『据え置いて』使うもの。
そのため、画面に触れる操作をするためには『指先を画面に近づける』必要があり、タッチ操作が多い時は腕を常に持ち上げいなければならなくなるなど、どちらかというとこちらが体勢を変えるなどして機械の都合に合わせなければなりません。
タブレットはハンドヘルド前提
一方、タッチパネルを備えるタブレット(スマホも含む)はハンドヘルド=片手持ちが前提となっています。
この場合、本体を片手に持っているので画面に触れる操作をする際は『指先を画面に近づける』動きと『タブレットを指先に近づける』という動きも自然に行われるので、ノート型パソコンの画面に触れる時のような不自由さを感じることなくタブレットを操作できます。
移動距離が全然違う
マウス、トラックパッドは省範囲
マウスやトラックパッドは操作感度を設定できるので、仮に30-inchクラスの画面内を端から端までドラッグするとしても文庫本程度の面積があれば操作可能です。
タッチ操作は同スケール
一方でタッチパネルは画面に直接触れて操作するので、前述同様に30-inchを端から端までドラッグしようとしたら数十センチもの距離にわたって腕を動かさなければなりません。
ノート型で30-inchはあり得ないので極端な喩えですが、趣旨は伝わりますよね?😅
タッチ操作の方が便利なこともあるけれど
例えば編集中の画像を回転させたいとか、瞬時に拡大/縮小したいなんて場面はマウスやトラックパッドを使って操作するよりも、画面に触れて回転させたり、ピンチイン/アウトで画像サイズを変更できた方が楽だろうな、とは思います。
とはいえ、タッチ操作とマウスやトラックパッドからの物理デバイスを用いた操作を同居させる必要があるとまでは思えないし、タッチ操作と物理デバイスを状況に応じて "持ち替える" 必要が生じ得るのは逆に快適性を損なうだけではないのか、とも思います。
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前代未聞の大胆な発想なら可能性は無くもない?
前代未聞の大胆な発想とはなんなのか……凡人の私に想像できるはずもありませんが。
例えば、誰もが思い描く『ノート型パソコン』の概念:
- 二つに折れる
- 片側にディスプレイが搭載されている
- もう一方に物理キーボードとトラックパッドが搭載されている
- 閉じた状態では操作できない(クラムシェルモードを除く)
を葬り去るレベルでノート型パソコンを再定義するところから始める必要があるように思います。貧相な発想で申し訳ないけど:
- 二つに折れる必要があるのか
- 二つに折れる必要があるなら、片側が画面、もう一方が操作系という仕様である必然性はあるのか
- タッチ操作と物理デバイスの持ち替えをいかにしてシームレスにするか
みたいな感じ?
こういう感じで、とにかく現状のノート型パソコンを全否定しながらも、タブレットではなくノート型パソコンというカテゴリに収める必要性を考え抜いて『タッチ操作対応のノート型パソコン』というアイデンティティを熟成させてからじゃないと "Touch Bar" の二の舞になると思います。
だってすでにタッチ操作対応のノート型パソコンは無いわけじゃないのに、その市場が活気に溢れているとは到底言えないのが現状なんだから。
まあ、まだ2年も先の話みたいだから、技術の進歩も含めて何がどう変わってタッチ操作対応のノート型パソコンに追い風が吹くことになるか予想もつきませんが、遠くない将来にはタブレットとノート型パソコンの棲み分けは消失するような気がしています。