iPhone 6以降の機種においてマシンパフォーマンスが購入当初よりも低下する問題について、搭載しているバッテリーの劣化に伴いマシン性能を抑制するような制御を組み込んでいたことが判明していますが、このほどAppleはこの件について事実であることを認め謝罪しています。
また、合わせて来年1月下旬より、バッテリー交換が必要となっている端末について保証対象外での交換価格を割引価格にて行うことも発表しています。
米国の場合は通常79ドルのところが29ドルなので、日本の場合は4,000円前後になるものと思われます。
割引交換の実施は来年、2018年1月下旬頃から12月までを予定しているとのこと。
件の問題の雑な解説
iPhone 6以降の機種において、使用年数が長くなればなるほど本来の性能に比べて『重い、遅くなった……』と感じるユーザが多発。
OSのアップデートで機能が向上したことにより処理が幾分重くなるといった事例はAppleに限らず特に珍しいことではないが、感覚的にその範囲を超えた性能低下。
調べていくうちにバッテリー交換をすると性能が回復することが判明。
つまり経年劣化などでバッテリーの能力が低下するのに連動する形でiPhoneの処理能力が抑制されているらしいことを発見。
……と、枝葉を含めるともう少し絡んでくる経緯があるんだけど、概要としてはこんな感じです。
制御すること自体は悪くないと思う
現実的にはあり得ない対策だけど、そこはイメージしやすいような作り話と割り切った上で以下の喩えを読んでください。
新車なら当時は8,000回転までエンジンを回してもへっちゃらだった
しかし3年後、7,000回転を超えると異常な振動を発するようになった
これを問題視したメーカーは、最高でも6,500回転までしか上がらないようにエンジン制御のプログラムを改変した
異常振動が発生しうる状態を放置しておけば、その先重大なトラブルにつながる可能性は否めないので予防的措置として回転数の抑制を行った。
もちろん本来なら異常振動の発生原因を解消しなければならないのですが、急場凌ぎの暫定措置としてはあり得ないとは言えない対策。
今回のiPhoneの件もざっくり言えば似たような考えに基づく対策でしょう。
それを黙っていたのが問題
今回の件、個人的には『あり』の対策だと考える側です。
対策が取られなかったせいでのべつ幕無しにiPhoneの電源が落ちられるよりは、多少性能を抑制されてでも安定して使い続けられる方がユーザが受ける不利益は小さいと考えられるからです。
でも、だからと言ってユーザに内緒でそのような仕組みを盛り込んでも良いものなのかと問われると、それはもちろん『なし』と言わざるを得ません。
Appleはケースバイケースと前置きしても構わないので「カクカクしかじか、こういう理由によりマシン性能を制御・抑制するプログラムを追加した」ということと「バッテリーを交換することで性能が回復することが期待できる」ということを公表すべきでした。
そうしておけばトラブルに遭遇したユーザは今何が起きているのか、少なくとも知らされずにいる時よりは適切に判断することができたでしょう。
知らなかった(知らされなかった)が故に、早々にiPhoneを買い替えた人も少なからずいたでしょうし、変だと思いつつも我慢して使い続けていたユーザもいたはず。
黙っていたことで迷惑をかけたユーザが少なくないことをAppleは反省すべきです。
(´-`).。oO(もっと言えばiPhoneを信用しきって単なる経年劣化だと自分に言い聞かせてた人もいたはず)
命取りになりかねない
ひとことで言えば今回の問題はそんなAppleを信じてやまない人たちの『信頼を裏切る行為』と言えるでしょう。
少なくともAppleブランドを信じている者の一人として、私は問題のiPhoneを使用していたわけではありませんがAppleに対してはそのくらいの憤りを覚えています。
何から何まで公表する必要はありませんが、今回の件でiPhoneユーザのApple製品に対する信頼を裏切り失望させたのは事実ですから、Appleは今回の件を多角的に分析し誤りの根本原因を真剣に見出すべきだと思います。
今回の件の当事者の多くはきっと、製品への不満ではなく『Appleがとった姿勢』に大きな不満を抱いているはずです。
そこに気づけなければ、Appleは……遠くない将来には堕ちるでしょう。
もっと良いバッテリーを積むべきだった、もう少し性能の抑制レベルを控えるべきだった……そんな頓珍漢な結論が出ないことを切に願います。
追記
Appleから以下のようなサポート文書が公開されました。
初めからこれを公開すれば良かったんだよ〜😩