※ 本エントリ公開時点では"第54回"としていましたが、欠番を補ったため"第53回"に変更しました
macOSにはTime Machine(タイムマシン)と呼ばれる機能が備わっています。
これはMac内の様々なファイルをバックアップしてくれる機能に付けられた名前で、外付けHDDとかAppleのTime Capsule(生産終了)を使用して機能します。
バックアップと聞くと、別にそこまで大事なファイル扱ってないし……みたいに考える人も少なくないみたいですが、このTime Machineが取るバックアップはちょっと個性的で、その便利さを知ると……いや、その恩恵を一度でも経験すると使わずにいるのが不安になるほどの機能です。
ちなみに昨年末にしれっとアンケートを取ってみたら、票数は少ないのであまり参考にはならないかもしれませんがTime Machineの使用率は約8割でした。
macOSに備わっているバックアップ機能『Time Machine』は使っていますか、使っていませんか?
— くじゃく٩( 'ω' )و (@kujax130) 2017年12月24日
勿体無い……17%の方、勿体無いですぞ!
Time Machineなんて必要ないという明確な理由があるならともかく、なんとなく使っていないのでしたらこの機会にぜひ使うことを検討しましょう!(Appleの回し者←)
Time Machineとは
バックアップのスケジュール
Time Machineは:
- 過去24時間は[1時間ごと]
- それ以前は[1日ごと]を1ヶ月分
- それ以前は[1週間ごと]をディスク容量が許す限り
という具合に直近は細かいスパンで、古いものは粗いスパンでバックアップが取られていく、というスケジュールで動いています。
バックアップを取る作業はOSが勝手にやってくれるので、最初にセットアップを済ませてしまえばそれ以降、ユーザがやることは何もありません。
バックアップの大まかな仕組み
普通のバックアップの場合、元のファイルを複製しただけのものですからそれ以上でもそれ以下でもなく、そのファイルに記録されていること以外は何もありません。
これに対してTime Machineの場合は "履歴" という概念が組み込まれています。バックアップファイルに世代(バージョン)がある、という言い方もできるでしょうか。
どういうものかを大雑把に説明するため、いま仮に以下のように10個のファイルがあったとします。
(´-`).。oO(アルファベットの後ろの数字は世代、大きいほど新しいものとします)
A1 | B1 | C1 | D1 | E1 | F1 | G1 | H1 | I1 | J1 |
次に、何らかの作業でFile A, D, E, Hの内容を更新したとします。するとその後でTime Machineがバックアップを取るときは……
A2 | B1 | C1 | D2 | E2 | F1 | G1 | H2 | I1 | J1 |
こんな感じで更新のあったファイルだけをバックアップし、この時系列にある他のバックアップファイルは以前のものを参照するように振舞います。つまり流用ですね。
続いて今度はFile A, C, H, Jに改変が加えられたとすると……
A3 | B1 | C2 | D2 | E2 | F1 | G1 | H3 | I1 | J2 |
という具合に、先と同様、更新されたファイルをバックアップし、この時系列にある他のバックファイルは以前のもの、あるいはさらにそれ以前のものを参照します。
各タイミングで全てのファイルをバックアップしているとバックアップに時間を要するだけではなくファイル容量も雪だるま式に嵩む一方ですが、このように変更のあったファイルだけをバックアップすることで処理時間と容量の浪費を節減しています。
消したファイルを復活させるだけがバックアップに非ず
バックアップと聞くと、普通はファイルが消えたり壊れてしまった時の為の『保険』のようなものをイメージすると思います。
確かにその通りで、Time Machineももちろんそういう用途でも使います。
でも、このTime Machineは先ほども書いた通り "世代(バージョン)" を管理している側面もあり、またOSの一部として機能しているため他の役割も担っています。
それが文字通り "バージョン" と呼ばれるもので、バージョン機能をサポートしているアプリケーションの中で機能します。
例えばPagesだとこういう画面が出てきます。
先ほどはA1, A2, A3といったファイル単位での世代を例に出しましたが、アプリケーション内のバージョン管理はこれをもっと直感的に示しているもの。
上の画像でいうと、左が最後に保存されている現時点でのファイル内容で、右側は画面の奥に向かって時間を遡る様な感じファイルが並べられています。
このおかげで、一昨日の状態にファイルを戻して編集し直すといった芸当が可能になるので……:
- 先月削除してしまってゴミ箱にも残っていないメールを取り戻す
- 昨日XXさんの住所録を消しちゃったけどやっぱり必要
……みたいな、「あの時の情報を取り戻す」といった使い方が簡単にできる様になります。まさにTime Machineそのものの振る舞いですね。
というわけで
Time Machineをただのバックアップ機能だと思ったら大間違い。
確かにバックアップ機能ではあるものの、それは単に複製を保存してくれる機能といった単純なものではなく、もう少し応用の効くバックアップ機能だったわけです。
もちろん完璧で非の打ち所のない機能……とまでは言えず、バックアップが発動する間で生まれては消えてしまったファイルは取り戻せないといった欠点もありますが、それでもやはりTime Machineを使っているか否かで利便性は大きく違って来ます。
基本的に直接お世話になることは少ない機能かもしれませんが、必要がない特段の理由がない限りは黙ってTime Machineのお世話になった方が賢明だと思いますよ。
知らなかった方はこの機会に導入を検討してみてください。