OS のアップデートをトリガーとする不具合に出来るだけ遭わないために
よく「Mac OS X のアップデートをしたら調子が悪くなった」というような話を聞く事がないですか。こんな話を聞かされるとアップデートを行うのが怖くなるかもしれませんが、ある程度の事を心掛けていればかなりの高確率でアップデート後の不具合を防げるようになります。
※ 以下、OS X 10.11 El Capitanからはアクセス権の修復機能が廃止されたためOS X標準のディスクユーティリティ.appでは実行できなくなりました。Apple曰くアップデート適用時に自動的に処理されるようになったとのことですが、不安でしたらOnyXなど他社アプリにてアクセス権の修復を行ってください。
★ アップデート前にアクセス権の修復を行う
潜在的な不具合があったせいで、アップデートをきっかけに問題が表面化することがあります。原因は様々ですが、経験上『アクセス権の不具合』をトリガーとして不具合を招いている事が多いように思います。
というわけで、前もってアクセス権の修復を行うことで不具合の引き金となりうる要素を潰しておきましょう。
10.6 → 10.7 のように上書きメジャーアップデートをする時は『必須!』ですね。
アクセス権の修復は OS X 標準のディスクユーティリティで OK です。OnyX などの社外ユーティリティでも OK ですがバージョンの適否にご注意ください。
★ アップデート後にもアクセス権の修復を行う
理由はよく判らないのですが、アップデート後にアクセス権の検証を行うと「〜であるはずが〜になっています」という検証レポートが見られるのは珍しい事ではありません。放置しておいても問題ないかもしれませんが、万全を期すためにも修復は掛けておいた方が良いでしょう。
アップデートの前後でアクセス権の修復を行うのが面倒かもしれませんが、なるべくアップデート前の修復だけはしておくようにしましょう。時間があればアップデート後の修復もお忘れなく。
なお、何回アクセス権の修復を行っても出続けるエラーがあります(例)。このようなものは無視して構いません。最低でも一度は修復を【実行する】ことが肝要です。
★ Combo Update(統合アップデート)を使用する
以下、10.7.3 Update と 10.7.3. Combo Update を例に説明します。ただし便宜的なものなので実際とは異なると思います。玄人諸先輩方、ツッコミは無しの方向でお願いします σ(^_^;)
さて。
いま、OS X に以下のプログラムがあるとして図中のようなバージョン変遷を辿って来たと仮定します。
10.7.0 | 10.7.1 | 10.7.2 | 10.7.3 | |
AAA.app | v1.0 | v1.1 | v1.2 | v1.3 |
BBB.app | v1.0 | v1.1 | ||
CCC.app | v1.0 | v1.1 |
この場合……
- 10.7.1 Update には AAA.app (v1.1) と CCC.app (v1.1) のアップデータが入ってる
- 10.7.2 Update には AAA.app (v1.2) のアップデータが入っている
- 10.7.3 Update には AAA.app (v1.3) と BBB.app (v1.1) のアップデータが入ってる
……ということになるのですが、これに対して 10.7.3 Combo Update には過去のアップデートが全て含まれています。
ものすごく乱暴な喩え方かもしれませんが、通常のアップデータは『差分アップデート』であるのに対して Combo Update は『丸ごとアップデート』とも言えます。
ここで、仮に現環境が 10.7.2 であるとして CCC.app の内部に潜在的な不具合が潜んでいるとしましょう。
この状態で 10.7.3 Update を実行すると AAA.app と BBB.app はアップデートされますが、CCC.app はアップデートされずに生き残ります。つまりトラブルを抱えたまま 10.7.3 での運用が始まることになりますから、運が悪ければこのアップデートの実行をきっかけに潜在的不具合に火が点りトラブル発生!なんて事が起こり得ます。
これに対して 10.7.3 Combo Update を実行すると AAA 〜 CCC 全てで書き換えが行われるため、CCC.app も不具合を抱える前の新鮮なものに置き換えられます。つまり 10.7.3 ではフレッシュな CCC.app が稼働することになりますから、少なくとも先のような形で不具合を招くリスクを減らせる可能性が高まります。
ここではアプリ(app)を例にしましたが、これと同様の事象をシステムファイルに置き換えて想像してみると……、ネ。
また、Combo Update は直前のバージョン、または現バージョンに対しても適用可能です。例えば 10.7.3 の現環境に 10.7.3 Combo Update をかける、とか。なので、例えば通常の 10.7.3 Update を適用したけどなんだか思わしくない……そんな時に改めて 10.7.3 Combo を適用すると『直っちゃった (*´艸`*)』なんて事はよくあります♪
面白いもので漠然と「なんか調子悪そう」な Mac に Combo を充てると直っちゃうなんてことも……無いとは言えない(経験談/笑)。
Combo Update はファイル容量が大きいのでダウンロードやアップデートの適用にはそれなりに時間を要しますし、前述のアクセス権の修復も予め行うとすれば更に時間がかかりますが、Combo を適用した方が良さそうな気配を感じる時は思い切って Combo しちゃってみて下さい。
ちなみに当方は前回(OS X 10.7.2) リリース時に 10.7.1 に対して 10.7.2 Combo Update を適用しました。
長文になってしまいましたが、要するに「アクセス権の修復をマメにやってね!」という事と、「場合によっては Combo Update 最高っす!」という二点だけです。
これさえ覚えておけば完璧………とは言いませんが、知らないでいるよりはかなりアップデート時のトラブルを避けられる、または大事に至らずに済むようになると思いますよ。
私の場合 10.2.8 以降ずっとこのやり方で凌げています。すっかりお手上げでクリーンインストールせざるを得ない状況に陥った事は片手で数えるくらいしかありません(たぶん)。意図的にクリーンインストールをした事は何度もありますが(笑)。
[追記]今回の OS X 10.7.3 アップデート後に起こる CUI Error はリリース直後の 10.7.3 Combo に問題があったと言われています(いまは修正版に差し替えられているらしい)。こういう事も稀に起こり得ますので必ずしも "Combo さまさま" とも言い切れません。急ぐ必要がなければ Update 公開の1〜2日後に Combo を……というのが無難かもしれないですね。